JISかな入力と、和文B初見記録について

某タイピングスレでの最近の話題についてです。
外部の掲示板での書き込みにブログで反応するという変な形になりますが、いきなりコテを付けて長々と言い訳染みた投稿をするのも迷惑だと思うので、ここで済ませます。
 
私の毎パソ和文B初見記録が(QweなのかJISなのか分からない形で)引用され、その記録と私の以前の発言が相まって、JISかな入力が実情以上に低く見られてしまいかねない状況になっています。
どちらについても、弁解……というか補足したい部分があるのでここに記します。

まず私が「JISかな入力は実用には使えない」と発言したという件についてです。
私がこの発言をしたのは事実で、確か数ヶ月前にtwitter上に投稿したものだと思います。
ただ、この発言は毎パソなどの「実用入力競技」に言及したものではありません。

この発言の趣旨は、JISかな入力の
・打鍵範囲の広さ(に起因する初期動作の難しさ、全体的な不安定性)
・シフト入力などの複雑な打鍵動作
・アルファベット入力、記号入力などの煩雑さ
などの要素と自身の使用経験を根拠に、チャット入力や文書作成など日常的な入力雑務に用いる手段としての実用性の低さを指摘することでした。

日常的な入力では、常に打鍵動作に意識を割いていられる入力競技・タイピング競技とは違い、
「他の作業からすぐに入力に移れる」「あまり集中していなくても安定して打てる」といった「安定したタイピングのための敷居の低さ」が重要になりますが、私はこれらの点においてはJISかな入力はかなり不利だと思っています。
例えばマウスに置いていた手をキーボードに移してすぐに打ち始めたい時、打鍵範囲が広くホームポジションを軸に空間をしっかり把握しないと安定して打てないJISかな入力では、かなりの不利があると思います。
またシフト動作や打鍵範囲の広さのせいで適当に打つとすぐにミスが出るので、JISかな入力は普段づかいでは非常に扱いづらいです。

このように、以前の私は日常的な入力雑務での利用を「実用」と表現しました。
今思えばかなり曖昧で誤解を招く表現で、不用意に使ってしまったことを後悔しています。
 ともかく、この観点からは私はJISかな入力の劣等性を信じていますが、実用入力競技においてのJISかな入力の有利不利については私にとってもほとんど未知数です。
上で挙げた様々な「不安定性」や「複雑性」は、単純に考えれば大きなネックになるはずですが、競技においては、入力のみに集中できること・ホームポジションを保ちやすい(*1)ことなどの特殊な要素があり、場合によってはJISかな入力がQwerty入力を凌駕することもあるのでは……と考えています。

*1 日常入力に比べればポジションを保ちやすいと言っても、変換を伴わないタイピング競技と比べれば、変換やバックスペース入力の必要により、ポジションを崩される割合は高くなる(そしてそれは恐らく正確性・安定性の低下をもたらし、JISかな入力の不利に繋がる)とは考えられます。しかし日常的な入力と違い集中して打ち続けられる状況にはあるので、正確性を高めることでかなりの部分まで対応することができるはずです。ただJISかな入力で要求水準の正確性を確保するのは相当難しいと思いますし、結局ここら辺は大きなネックになるような……とにかく未知数です。


また、毎パソ和文Bの初見記録(分間208字)は、今年の毎パソ6月Web大会の課題文をQwerty入力で打ったものです。
あれは「ちょっと和文やってみるか」という程度の記録であって、その記録をもとに私の(純粋なタイピングの)実力を判断されるのは不本意ですし、こんな低次元な記録との比較のもとにPocariさんの(和文実用入力の)実力を判断するのは、それこそ本人にとって不本意ではないかと思います。
和文実用入力競技(特に初見)は高度な変換能力を要するもので、門外漢のタイパーが付け焼刃で挑戦した程度でまともな記録を出せるものではありません。
適当に打ったあとポチポチと変換キーを押しながら変換候補を探したり、文をどの程度で区切って変換キーするべきか分からなかったり、私の記録はそういう次元のものであって、Pocariさんの記録と比較できるようなものではありません。

もちろん、Pocariさんの(和文実用入力から離れた)タイピング能力を過小評価しているわけではありません。
例えば朗読打ち込みの分速360文字という記録は、変換や修正を考えると明らかに(どんなに低く見積もっても)分速600打鍵を超えるもので、実用入力において当たり前のようにこの速度を叩き出せるということは、純粋なタイピングにおいても相当の実力(速度・正確性・安定性)を誇っていることがよく分かります。
ただし、それでも特筆すべきは圧倒的な変換能力なのであって、Pocariさんの記録をもとに(記録から分かる最低限のもの以上に)打鍵性能を評価しようとすれば、むしろその記録の真価を見失ってしまうと思うのです。

コメント

  1. 1ゲット!!

    返信削除
  2. 横からの書き込み失礼します。

    「チャット」 「ローマ」 「かな」 「速く打てるのは?」
    などのワード検索から来ました。

    実技検定ではやはりどちらが優勢か結論づけるのは難しいとの事ですが私のようなチャットオンリーでやっている者で
    ・マウスほんとんど動かさない
    ・英数字を一切利用無し
    ・日本語オンリー

    の限定利用者だと
    JISというのはローマより速く打てる
    ということなのでしょうか?

    utaさんの理論を半分も理解して無く
    いきなり書き込みしてしまったのですが、こういう話題は本当に気になりますね


    (上の限定利用(3点)に、バックスペースやミスが皆無なら、自分の考えとしてはJISだと思ったのですが、utaさんの理論をみるとやはりまったくのノーミスやバックスペは未使用なのはほぼ無理だと思って加えませんでしたm(_ _)m)

    返信削除
  3. >>ロリコン さん
    俺さんってロリコンだったんですか…… 幻滅です……

    >>omoidenoongaku さん
    マウスを動かさない(キーボードからほとんど手を離さない)、英数字無しの日本語オンリーのチャット利用という条件であれば、JISかな入力がローマ字入力を上回ることも大いに有り得るとは思います。
    ただ、速さではJISかな入力がまさっても、シフト入力の必要がありミスが出やすい等、若干の使いづらさは残る気もします。
    また手の大きさ(手が極端に小さい人は打鍵範囲の広いJISかなには向かないでしょうし、逆に大きい人はローマ字だと詰まりやすいかもしれません)などもあり、好みと相性の問題も大きいかと思います。

    ともあれomoidenoongakuさんが挙げられた条件のもとでしたら、恐らく一般的にはJISかな入力の方が早くなるだろう、というのが私の意見です。
    一タイパーの経験則に基づいた意見に過ぎませんが、参考になれば幸いです。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

様々な単位について(1)

スピードか、正確性か?

タイピング Professionals 電子版の無償公開スタート!